特集 膵癌の早期診断 ―診療ガイドラインの改訂を踏まえて
5.Stage 0,ⅠA膵癌の診断と治療(1)臨床徴候・画像所見の特徴 ― 多施設共同研究の成績から
菅野 敦
1
,
池田 恵理子
1,2
,
安藤 梢
1,2
,
三輪田 哲郎
1
,
横山 健介
1
,
玉田 喜一
1
,
福嶋 敬宜
2
,
佐田 尚宏
3
1自治医科大学内科学講座・消化器内科部門
2自治医科大学病理学講座・病理診断部
3自治医科大学外科学講座・消化器一般移植外科部門
キーワード:
ERCP
,
EUS
,
危険因子
,
EUS-FNA
Keyword:
ERCP
,
EUS
,
危険因子
,
EUS-FNA
pp.165-170
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002509
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膵癌早期診断研究会(JEDPAC)でStage 0とStageⅠ膵癌の臨床的な特徴をまとめた.危険因子に関しては,糖尿病やIPMNなどを合併している患者が多かった.受診契機は,他疾患の経過観察中に発見された症例が最も多く症状のない症例が多かった.画像所見に関して,膵管拡張などの副所見が指摘された症例が多かった.また,早期に診断される膵癌の特異的な画像所見として認識されつつある膵の限局的脂肪化は約40%の症例に認められた.また,Stage 0の症例はENPDによる膵液細胞診によって病理学的に診断された症例が多かった.Stage 0とStageⅠの膵癌の予後は良好であったが,残膵癌に注意する必要があることが明らかになった.さまざまな臨床的な特徴を踏まえ,膵癌が早期に診断され,予後の改善に結びつくことが期待される.
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