特集 胆膵の画像・内視鏡診断の進歩―早期診断と正確な診断のために
3.膵囊胞性腫瘍の診断とサーベイランスの現状と課題―IPMN大規模コホートの検証
大山 博生
1
,
濱田 毅
1
,
丹下 主一
1
,
高原 楠昊
1
,
中井 陽介
1
,
藤城 光弘
1
1東京大学大学院医学系研究科消化器内科
キーワード:
IPMN由来癌
,
IPMN併存癌
,
累積発癌率
,
リスク因子
,
ガイドライン
Keyword:
IPMN由来癌
,
IPMN併存癌
,
累積発癌率
,
リスク因子
,
ガイドライン
pp.1618-1624
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002865
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膵囊胞性腫瘍の大半を占める膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は,診断時点では症状を伴わず良性であることが多いが,一定の膵癌発症リスクを有するため定期的なサーベイランスの適応である.膵癌発症の形式は,IPMN自体が癌化するIPMN由来癌のみならず,IPMNと異所性に発生するIPMN併存癌も存在する.IPMNのガイドラインは複数存在するが,サーベイランスの方法の推奨が統一されていないことに着目し,われわれは当施設での大規模コホートにおいてIPMNからの膵癌発症について検証した.IPMNは経過観察期間によらない膵癌発症リスクを有し,主膵管径の大きいIPMNは発癌リスクが高いことを明らかにした.現状の課題としては,とくにIPMN併存癌については早期発見が未だに困難であることから,膵癌の早期診断契機となりうるバイオマーカーの探索を進めること,また高齢社会においてcost−effectivenessを考慮に入れたサーベイランスのプログラムを確立することが挙げられる.
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