Japanese
English
特集 膵囊胞マネージメント,これ一冊
[腫瘍性囊胞性疾患]
IPMNの経過観察法と治療適応
Surveillance and treatment indication for IPMN
倉石 康弘
1
,
原 和生
1
,
水野 伸匡
1
,
羽場 真
1
,
桑原 崇通
1
,
奥野 のぞみ
1
Yasuhiro Kuraishi
1
,
Kazuo Hara
1
,
Nobumasa Mizuno
1
,
Shin Haba
1
,
Takamichi Kuwahara
1
,
Nozomi Okuno
1
1愛知県がんセンター消化器内科
キーワード:
IPMN
,
IPMN由来癌
,
IPMN併存膵癌
Keyword:
IPMN
,
IPMN由来癌
,
IPMN併存膵癌
pp.903-909
発行日 2023年7月25日
Published Date 2023/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000802
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はじめに
近年の膵疾患に対する画像診断技術の進歩により,無症状で膵囊胞が発見される機会が増えている。膵囊胞性病変は年齢ととともに増加することが示されており,なかでも膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)は最も頻度が高い1)。IPMNは拡張する部位が分枝膵管か主膵管かにより病型分類され,その分類により悪性化率や臨床経過が異なることから治療ストラテジーが異なってくる。また,IPMN患者では多段階発癌形式により,low grade dysplasiaからhigh grade dysplasiaを経て,invasive carcinomaへと進行するIPMN由来癌とIPMNとは異所性に発生する併存膵癌が合併しうる。治療法は悪性化した症例もしくは悪性化が予想される症例に対して外科的切除が推奨され,それ以外の症例に対しては定期的なサーベイランスが必要となるが,併存膵癌を考慮したうえでどのような経過観察法が最良なのかは明らかになっていない。IPMNに対する手術適応や経過観察法などは各国でガイドラインが出されており,国際膵臓学会(International Association of Pancreatology:IAP)からもガイドラインが刊行されている。国際診療ガイドライン2017年版(IAP 2017)1)はIPMNの診療法に関して実臨床に即したものとなっており,本邦では日常診療において用いられることが多い。本稿では,IPMNの手術適応や経過観察法について,IAP 2017を中心とした各国のガイドラインと過去の文献をもとに概説する。
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