特集 消化管内視鏡治療のリスク克服に向けて
1.待機的内視鏡治療に潜むリスクとそのマネジメント(1)食道・胃静脈瘤治療
引地 拓人
1
,
加藤 恒孝
1
,
高木 忠之
2
,
中村 純
1
,
橋本 陽
1
,
小橋 亮一郎
1
1福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
2福島県立医科大学附属病院消化器内科
キーワード:
食道静脈瘤
,
胃静脈瘤
,
内視鏡的静脈瘤硬化療法
,
内視鏡的静脈瘤結紮術
,
有害事象
Keyword:
食道静脈瘤
,
胃静脈瘤
,
内視鏡的静脈瘤硬化療法
,
内視鏡的静脈瘤結紮術
,
有害事象
pp.7-16
発行日 2022年12月20日
Published Date 2022/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002473
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待機的内視鏡治療として,食道静脈瘤では内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)と内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)が行われる.EISでは貫通静脈が食道壁外シャントとなることで硬化剤の大循環への流出リスクがある点が最大のリスクである.したがって,術前EUSでの貫通静脈の確認が重要であり,術中明らかなシャントを認めた場合にはエタノール併用のEISを考慮する.近年は門脈血栓も問題視されている.一方,EVLは有害事象が少ないとはいえ,肝機能不良例ではリング脱落後の出血に注意する.胃静脈瘤では内視鏡的組織接着剤注入術が行われる.シャントからの大循環への組織接着剤流出が最大のリスクであり,術前の門脈血行動態の把握が重要である.そのうえで,術前EUSで径12 mm以上の胃静脈瘤例では,シャント閉塞下の組織接着剤注入術を考慮する.
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