Japanese
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特集 進化し続けるIEE
[各論 IEEを使いこなす]
上部消化管内視鏡
食道・胃静脈瘤の内視鏡診断:治療におけるRDIの有用性
Usefulness RDI for the diagnosis and treatment of esophageal and gastric varices
引地 拓人
1
,
加藤 恒孝
1
,
中村 純
1
,
橋本 陽
1
,
小橋 亮一郎
1
,
栁田 拓実
2
,
入江 大樹
2
,
高木 忠之
2
,
大平 弘正
2
Takuto Hikichi
1
,
Tsunetaka Kato
1
,
Jun Nakamura
1
,
Minami Hashimoto
1
,
Ryoichiro Kobashi
1
,
Takumi Yanagita
2
,
Hiroki Irie
2
,
Tadayuki Takagi
2
,
Hiromasa Ohira
2
1福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
2福島県立医科大学医学部消化器内科学講座
キーワード:
RDI
,
食道静脈瘤
,
胃静脈瘤
Keyword:
RDI
,
食道静脈瘤
,
胃静脈瘤
pp.322-326
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000670
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はじめに
新規内視鏡システムであるEVIS X1の開発により,新たな画像強調観察である赤色光観察(red dichromatic imaging:RDI)を使用した内視鏡観察が可能になった1)。RDIのメリットは以下の2つである。一つは,消化管出血時の出血点の視認性が向上すること,もう一つは粘膜深層の比較的太めの血管の視認性が向上することである。このメリットは,早期の消化管癌のESDにおいて,術中出血時に精神的ストレスが少なく速やかに出血点を確認できることで止血が容易になったり,粘膜下層の血管を避けた粘膜面からの局注ができることで予期せぬ局注時出血や血腫を回避できたりすることにつながる2, 3)。一方,食道静脈瘤や胃静脈瘤は,治療対象となる血管が粘膜下層に存在するが,門脈圧が高まることで,粘膜層へ静脈瘤が突出したり,粘膜層が菲薄化したりする。したがって,これら出血リスクが高い静脈瘤症例の診断や治療におけるRDIの有用性が期待される。本稿では,食道・胃静脈瘤の内視鏡診断・治療におけるRDIの有用性について,これまでのエビデンスならびに実臨床での使用経験を述べる。
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