特集 肝不全・肝硬変に対する再生療法―最先端の今
3.肝不全・肝硬変の治療の現状(2)急性肝不全とACLF
中山 伸朗
1
1埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科
キーワード:
急性肝不全
,
遅発性肝不全(LOHF)
,
ACLF
,
人工肝補助療法
,
肝移植
Keyword:
急性肝不全
,
遅発性肝不全(LOHF)
,
ACLF
,
人工肝補助療法
,
肝移植
pp.1636-1646
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002028
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全国調査に登録された2016~2019年発症の急性肝不全および遅発性肝不全(LOHF)の治療では,血液濾過透析(HDF)の実施率に変化がなかったが,推奨されるon—line HDFとhigh—flow HDFの比率が増加していた.ただし内科治療全体の成績に改善はみられず,肝移植実施率も頭打ちであった.ドナー不足が解消されない現状では,内科治療の戦略の見直しが課題である.一方,2017~2019年に発症して全国調査に登録のACLFおよび関連病態では,パイロットスダディと同様,わが国ではアルコール性肝硬変を背景に,アルコール多飲を急性増悪原因とするACLF症例の比率が高いことが確認された.肝移植の成績は良好であるが,移植に至る症例はきわめて低率であり,人工肝補助療法の有用性はACLFにおいては限定的と考えられた.
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