特集 肝硬変診療の新時代
5 .抗ウイルス療法によるB 型肝硬変の改善と限界
鈴木 文孝
1
1虎の門病院肝臓センター
キーワード:
B型肝炎
,
肝硬変症
,
核酸アナログ製剤
,
肝癌
Keyword:
B型肝炎
,
肝硬変症
,
核酸アナログ製剤
,
肝癌
pp.1587-1592
発行日 2020年11月20日
Published Date 2020/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001451
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B型肝硬変症に対する抗ウイルス治療(核酸アナログ製剤)の効果と治療の限界について述べる.肝硬変の治療適応は,HBV DNA量が陽性であれば,HBe抗原,ALT値に関わらず治療対象となる.肝硬変の初回治療例に対する核酸アナログ製剤のHBV DNA量の陰性化率は,高率である.しかし非代償性肝硬変症では,ウイルス量が低下しても必ずしも肝炎の改善や肝病変の改善が得られるわけではない.また核酸アナログ製剤では,肝硬変症例で有意な発癌率の低下を認めた.しかし核酸アナログ製剤でウイルス量が低値を持続しても,肝硬変症では,常に肝発癌のリスクがあることを念頭に置き,定期的な画像診断を含めた経過観察を行う必要がある.
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