投稿論文 短報
中心静脈カテーテルが遅発性に胸腔内に迷入した小児症例
芝 順太郎
1
,
山田 衣璃
,
竹内 護
1自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座
キーワード:
異物移動
,
中心静脈カテーテル法
,
胸部X線診断
,
胸部疾患
,
胸腔
Keyword:
Foreign-Body Migration
,
Thoracic Diseases
,
Radiography, Thoracic
,
Catheterization, Central Venous
,
Thoracic Cavity
pp.1202-1204
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021050830
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8ヵ月男児。胆道閉鎖症に対して生体肝移植を施行した。麻酔導入後に中心静脈穿刺を行い、右内頸静脈にガイドワイヤーを留置しようとしたが、留置困難で血腫を形成したため、左内頸静脈に深さ10cmで留置し、さらにトリプルルーメンの中心静脈カテーテル(CVC)を留置した。全てのルーメンからの逆血は良好で、術直後の胸部X線でCVCの先端は気管分岐部の高さにあった。術翌日よりCVCから免疫抑制薬や高カロリー輸液の投与を開始した。術後5日目の朝の胸部X線でCVCの先端は気管分岐部より1.5cm上に位置していた。同日昼から児は不機嫌となり、SpO2が80%まで低下した。胸部X線を施行したところ、朝には認めなかった右胸水が確認された。胸腔ドレーンを留置したところ漿液性の胸水が200ml吸引され、糖濃度が高値であったことから、CVCが遅発性に静脈壁を穿破し、輸液が胸腔内に投与されたものと考えた。右上肢から末梢静脈挿入式中心静脈カテーテルを留置したのちCVCを抜去し、呼吸状態は速やかに改善した。CVCが迷入した原因として、CVCが血管壁に鋭角に接していたことに加え、高カロリー輸液などの高浸透圧の薬液投与が関与している可能性が考えられた。
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