発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016250030
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症例1は39歳女性で、妊娠32週、全身浮腫を自覚した。嘔気、腹痛、頭痛、尿量低下、血圧上昇を認め、妊娠高血圧性症候群の診断で入院した。入院時、胎児心拍は聴取されず、緊急帝王切開(死産、男児1624g)となった。入院時検査所見よりHELLP症候群と診断された。保存的治療で肝酵素低下を認めていたが、32週5日に乏尿が続き呼吸困難が出現した。胸部X線を含め溢水傾向で、血液透析(HD)の適応と判断し、右内頸静脈よりエコーガイド下に血液透析用ダブルルーメンカテーテル(DLC)挿入となった。挿入時、返血側の逆流がやや弱い以外、特に問題なく挿入を終了し、確認X線検査でDLC先端が右鎖骨下静脈に迷入していることが判明した。症例2は80歳女性で、20歳時に肺結核、53歳時に慢性関節リウマチ、63歳時に高血圧となった。6ヵ月前より認知症様症状が出現し、1週間前より原因不明の意識レベル低下を認め、脳神経外科に入院した。入院時より腎機能低下を認め、誤嚥性肺炎などの合併によりさらに腎機能が悪化し入院25病日に紹介入院した。神経学的検査を行ったが原因不明で、尿毒素による意識障害も否定できないためHD適応と判断した。確認X線でDLC先端が下大静脈部にないことが判明し血管外への逸脱、特に腹腔内への逸脱を疑った。腹腔内への逸脱の可能性は低いと判断し、血管外逸脱部位は浅いと考え圧迫止血可能と判断し、dLCを抜去することとなった。ヘリカルCT3D画像により、解剖学的に浅腸骨回旋静脈に迷入したと判断した。
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