発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012139107
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47歳男。4年前に検診で左胸部異常陰影を指摘され、脂肪腫疑いで経過観察としていたが、左前胸部痛が出現した。胸部CTで左前側方胸壁に胸腔内に突出し、内部がほぼ均一な低濃度半球状の腫瘍を認め、内部のCT値は-113.6 Hounsfield unitであった。胸腔内脂肪腫と考えたが、増大傾向がみられ、脂肪肉腫も否定できないことより手術予定とした。しかし術前検査中に左気胸を発症し、造影CTで左前側方胸壁から有茎性に胸腔内に突出する分葉状の腫瘍を認め、虚脱した左肺尖にはブラが散見された。胸腔鏡下手術を施行し、細い茎のある壁側胸膜をわずかに切除するように腫瘍を切離し、ブラ切除を考慮して追加した腋窩小開胸創から摘出した。摘出標本は黄白色調、弾性軟、分葉状の腫瘍で、10.0×9.5×3.0cm、120gであった。病理組織所見では線維性の被膜に包まれた成熟脂肪組織の増殖で、異型性はなく、脂肪腫と診断した。術後経過良好で、24ヵ月後も再発はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011