机上の想いのままに
性善説は集団に通用するか
西野 仁樹
1
Jinju NISHINO
1
1東和病院,整形外科
pp.1607-1607
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002808
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人間の性は「惻隠(他者を見ていたたまれなく思う心:仁の端)」 「羞悪(不正や悪を憎む心:義の端)」 「辞譲(譲ってへりくだる心:礼の端)」 「是非(正しいことと間違っていることを判断する能力:智の端)」の四端の心を備えているというのは孟子の『公孫丑章句上篇』に由来する。幼児が井戸に落ちるのをみれば,どのような人であっても哀れみの心(惻隠の情)をおこすのが自然の感情である。このことを多くの人は支持するだろう。したがって,人間は自分の中にある「四端」をどんどん伸ばすべきであり,それによって人間の善性を完全に発揮できると孟子は主張する。中国戦国時代に生きた孟子にとって「人間の性は善」であり,争っている状況は異常で,礼を守れば平和な世界が実現できると信じたかったのであろう。
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