連載 家族社会学・3
集団としての家族
山根 常男
1
1大阪市立大・家政学部社会福祉学科
pp.205-211
発行日 1969年7月15日
Published Date 1969/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200140
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家族の原型が,父・母・子という3種の親族的位座から成る核家族であり,しかも現代の産業社会では,この核家族が支配的となりつつあることは,すでに述べたとおりである。
元来,核家族ということばは,構造的な意味の用語であるが,現在ではそれ以上の意味を含めて使われるのが通常である。すなわち,それは結婚によって新しく作られ,居住的に,また多かれ少なかれ,経済的に,親の家族から独立する家族をしばしば意味する。子夫婦が居住的に親の家族から離れて,新しく居を構える制度を,新居制(neolocality)という。このような核家族は,あくまでも結婚,つまり夫婦を中心とした家族である。子どもはもちろんそこに生まれ,親によって育てられるが,やがて成人すれば生まれた家族を離れて,自分自身の核家族を作るのである。この意味で核家族は,結婚家族あるいは夫婦(中心)家族(conjugal family)ともよばれる。ここではこの意味での核家族に準拠して論ずることにする。
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