大腿部肉ばなれ損傷者のスポーツ復帰時のハムストリングと大腿四頭筋の筋力比の検討

Study of hamstring-to-quadriceps strength ratio in patients with thigh muscle strains

要旨：大腿部肉ばなれ損傷者のスポーツ開始時の筋力を測定し，膝伸展筋力に対する膝屈曲筋力の割合（HQ比）に特徴があるか検討することを目的とした。対象はMRIにて診断され，スポーツ復帰まで経過観察できたハムストリング肉ばなれ損傷者（Ham群）35例と大腿四頭筋肉ばなれ損傷者（Quad群）42例である。スポーツ開始時の等速性膝伸展・屈曲筋力（180°/秒，60°/秒）のHQ比を算出し，両群のHQ比を比較した。その結果，HQ比は等速性膝伸展・屈曲筋力180°/秒，60°/秒ともにHam群と比較しQuad群が有意に高値であった（p＜0.05）。スポーツ復帰時にはHQ比を考慮した筋力強化を行う必要がある。本研究の限界は，後ろ向き研究であるためコントロール群がいないことと，筋力評価に等速性筋力を用いていることである。