手術症例報告
術中神経モニタリングが有用であった非反回下喉頭神経を伴う胸部食道癌の1切除例
熊谷 洋一
1
,
傍島 潤
1
,
幡野 哲
1
,
村松 俊輔
1
,
持木 彫人
1
,
石田 秀行
1
1埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
キーワード:
NIM system
,
非反回下喉頭神経
,
右鎖骨下動脈起始異常
Keyword:
NIM system
,
非反回下喉頭神経
,
右鎖骨下動脈起始異常
pp.929-934
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001224
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胸部食道癌において上縦隔リンパ節転移の頻度は高率であり,右開胸手術における上縦隔,とくに反回神経周囲のリンパ節郭清は必須の手技である。反回神経は迷走神経本幹より分枝し,通常右では鎖骨下動脈,左は大動脈弓を反回して走行し喉頭に至る。この反回神経の同定は術者の技量によるところが大きく,時として反回神経麻痺が起こる。反回神経麻痺により生じる嗄声,誤嚥に引き続く肺炎などは短期,長期のQOLを大きく損なうことになる。近年,甲状腺,副甲状腺手術においてnerve integrity monitoring system®(以下,NIMシステム)を使用し,手術中に反回神経の確実な同定,麻痺の有無の判定が可能になった1)。このNIMシステムは反回神経をほぼ全長露出し,リンパ節郭清を行う食道癌手術で有用であることはいうまでもなく,実臨床に導入されつつある2)。
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