小児の腹部に生じた硬化性苔癬の1例

Lichen sclerosus on the abdomen of a pediatric patient

9歳，女児。8年前より右下腹部に自覚症状のない硬化性の皮膚萎縮が出現し，成長とともに徐々に拡大した。右下腹部に辺縁やや不整な手掌大の萎縮を伴う硬化性局面があり，中央は白色調で，その辺縁には淡い毛細血管拡張が網状にみられ，さらに周囲を淡褐色と象牙色の小斑が取り囲んでいた。病理組織像で表皮に軽度の過角化，萎縮，基底層に液状変性を認め，真皮上層の膠原線維は硝子様に均質化し，透明帯を形成しており，硬化性苔癬と診断した。小児の硬化性苔癬は6～23％とまれであり，諸外国の報告と比較し考察した。