綜説
小児の網膜ジストロフィ
堀田 喜裕
1
1浜松医科大学眼科学教室
キーワード:
小児
,
網膜ジストロフィ
,
先天停在性夜盲
,
Leber先天盲
,
X連鎖性網膜色素変性
,
遺伝子治療
Keyword:
小児
,
網膜ジストロフィ
,
先天停在性夜盲
,
Leber先天盲
,
X連鎖性網膜色素変性
,
遺伝子治療
pp.1431-1437
発行日 2020年12月5日
Published Date 2020/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001956
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小児の診察は,問診,網膜反射検査(red reflex),眼位検査,立体視検査,対光反射,屈折検査,視力検査,細隙灯顕微鏡検査と進み,嫌がられながら調節麻痺薬あるいは散瞳薬を点眼して,調節麻痺下屈折検査,再び細隙灯顕微鏡検査,眼底検査と続く。5歳頃までは,視機能は発達途中であり,検査も限界がある。小児の網膜ジストロフィは幸いなことに少ないが,視機能障害を指摘されて,もしくは訴えて来院する患児を網膜ジストロフィと診断するのはときに困難である。追視の欠如,眼振,斜視と,主訴はさまざまで,両眼の網膜に変性病変があっても外傷性の可能性もある。視野検査も重要であるが,特に年少児では結果の信頼性に考慮が必要である(図1)。診断の鍵となる眼底検査,網膜電図は,小児が最も嫌がる検査であり,コンタクト電極による網膜電図は特に難しい。表1に小児期に問題となる網膜ジストロフィを挙げたが,まれな疾患が多い。それぞれの疾患について述べることは困難であるため,本稿では,このうち眼底所見が乏しく見逃しやすい先天停在性夜盲,遺伝子治療が注目されているLeber先天盲とX連鎖性網膜色素変性について述べる。
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