Japanese
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講座 遺伝子治療―21世紀に消える?リハビリテーション関連疾患
4.筋ジストロフィー
Gene therapy of muscular dystrophy.
近藤 恵里
1
,
斎藤 加代子
1
Eri Kondo
1
,
Kayoko Saito
1
1東京女子医科大学小児科
1Department of Pediatrics, Tokyo Women's Medical University, School of Medicine
キーワード:
遺伝子治療
,
筋ジストロフィー
,
ジストロフィン
,
ウイルスベクター
Keyword:
遺伝子治療
,
筋ジストロフィー
,
ジストロフィン
,
ウイルスベクター
pp.333-338
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109464
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はじめに
多くの疾患が遺伝子レベルで捉えられるようになり,分子病態の解明や遺伝子診断が目覚ましい発展を遂げてきた.さらに,その技術を治療にまで活かそうという発想が生まれ,遺伝子治療の可能性が具体的に検討され始めたのは1970年代からであった.そして1990年米国において,初めての本格的な遺伝子治療が,アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症を対象としてスタートした.わが国ではそれから遅れて1995年,同じくADA欠損症に対する臨床治験で開始以来,癌を中心として遺伝子治療の試みや申請が相次いでいる(表1).
遺伝子治療は多くの可能性を持ち,当初は過大な期待が先行したが,必ずしも順調に成果があがったわけではなかった.研究が進むにつれ,in vitroとin vivoの効果の違いや,動物種による治療効果の差が明らかになり,遺伝子導入技術に関する基礎研究の必要性が強調された.「筋ジストロフィー」の遺伝子治療も同様に,これまで多くの基礎的研究が活発に積み重ねられてきた一方で,今ようやく臨床治験が展開されはじめたという段階を迎えた.
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