特集 胸部の最新画像情報2017
症例
肺癌の腫瘍浸潤によって生じた仮性肺動脈瘤に対して塞栓術を施行した1例
久保 雅実
1
,
三好 真紀子
,
柿沢 秀明
,
祖母井 努
,
新宅 香恵子
,
出口 菜穂子
,
山崎 正弘
,
粟井 和夫
1広島赤十字原爆病院 放射線診断科
キーワード:
血管造影
,
腫瘍侵入性
,
塞栓術
,
肺腫瘍
,
肺動脈
,
扁平上皮癌
,
致死的転帰
,
動脈瘤-偽性
,
血管内治療
,
胸部CT
,
コイル
Keyword:
Angiography
,
Carcinoma, Squamous Cell
,
Embolization, Therapeutic
,
Lung Neoplasms
,
Neoplasm Invasiveness
,
Pulmonary Artery
,
Aneurysm, False
,
Fatal Outcome
,
Endovascular Procedures
pp.215-219
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2017142938
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症例は60歳代女性で、右肺下葉原発の扁平上皮癌に対して化学療法施行後で、一時治療休止中であった。治療開始4ヵ月後(塞栓術10日前)より、血痰を認めるようになり止血剤で対応した。しかし、右胸痛も伴うようになった。単純CTでは右肺下葉中枢側に腫瘍と思われた軟部影と、軟部影周囲や空洞内に血腫を認めた。腫瘍の評価のために造影CTを施行し、単純CTで腫瘍と思われた部位に肺動脈と同等の造影効果を呈する約15mm大の腫瘤影を認め、仮性肺動脈瘤を形成されていると考えられた。右肺動脈下葉枝中枢側に5mmの長さで血管が破綻していた。仮性肺動脈瘤の周囲には血腫と腫瘍を認めた。バイタルサインは安定していたが、破裂予防のため仮性肺動脈瘤に対して緊急塞栓術を施行する方針となった。塞栓術後、肺高血圧症、肺梗塞等の大きな合併症はなかった。術後4ヵ月後のCTでは仮性肺動脈瘤の再発はなかったが、腫瘍の増大を認めた。術後約5ヵ月後に癌死するまで、臨床的に再出血の所見は認めなかった。
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