発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016150833
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78歳女。近医の胸部CTにて右肺Sの結節影を指摘され、当科紹介となった。診断・治療目的に右肺区域切除術を施行し、臨床病期IIIA期の肺癌(低分化腺癌)と診断された。術後11ヵ月に有瘻性膿胸を認め、開窓術を行ったが、第13病日(初回出血9日後)に再び同部位からの出血を認めた。出血部周囲の組織は脆弱であり、縫合による補強止血は困難と判断し、有茎広背筋弁で気管支断端瘻、肺瘻、肺動脈出血部を被覆したが、筋弁は瘻孔部分では生着せず、その後も気管支断端瘻、肺瘻の閉鎖は得られなかった。第34病日(2回目出血の21日後)に3回目の出血をきたしたため、第39病日に金属コイルを用いて肺動脈塞栓術を施行したところ、良好な出血が得られ、気管支断端瘻も消失した。術後23日目に肺瘻、肺動脈出血部に大網被覆術を行い、その後の経過は良好であった。
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