経験
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートの正中神経への影響と抜釘術の適応
寺元 秀文
1
,
内田 圭治
,
金子 真也
,
越宗 幸一郎
,
伊勢 真人
,
村上 恒二
1国家公務員共済組合連合会呉共済病院 整形外科
キーワード:
内固定法
,
骨板
,
正中神経
,
X線CT
,
橈骨骨折
,
反応時間(生体)
,
治療成績
,
体内埋込み具の除去
,
神経伝導速度
,
長母指屈筋
Keyword:
Bone Plates
,
Fracture Fixation, Internal
,
Median Nerve
,
Reaction Time
,
Radius Fractures
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Treatment Outcome
,
Device Removal
pp.123-126
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016180768
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2011年7月~2014年4月の間に手術的治療を行った高エネルギー外傷を除く橈骨遠位端骨折症例で、術後6~12ヵ月で違和感や痺れ感を訴え神経電導速度検査を施行した16症例(男性2例、女性14例、年齢44~78歳、平均年齢63歳)を対象に、正中神経への影響をSoong分類で評価した。その結果、1)受傷時骨折型はAO分類で23-A2が1例、A3が5例、C1が1例、C2が7例、C3が2例で、インプラントは全てDepuy Synthes社製VA-TCPを用い、使用サイズはstandardが3例、smallが12例、extra smallが1例であった。2)プレート設置位置はSoong分類でGrade 0が1例、Grade 1が6例、Grade 2が9例であった。3)運動神経平均遠位潜時は抜釘前後でそれぞれ3.6±0.8ms、3.5±0.7ms、感覚神経の平均伝導速度は50.6±5.0m/s、51.4±5.7m/sで、有意差はなく、いずれも改善傾向がみられた。4)臨床的には抜釘後1例でしびれ感が残存したが、その他の症例は全て改善していた。5)術前CTによる長母指屈筋腱(FPL)の位置の評価では43.8%は正中神経のほぼ直下に、56.2%は橈側寄りに走行していたが、全ての症例でFPLは正中神経より深層でプレート直上に走行していた。以上より、Soong分類Grade 1、2の症例では抜釘を考慮した方が良いと考えられた。
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