症例
救命しえた外傷性環椎後頭関節脱臼の1例
若杉 正嗣
1
,
保坂 登
,
田仕 英希
,
大塚 寛
,
荒井 勝光
,
小泉 雅裕
1新潟県立中央病院 整形外科
キーワード:
経腸栄養
,
環椎後頭関節
,
気管切開術
,
呼吸障害
,
整形外科固定具
,
MRI
,
脊椎固定術
,
気管内挿管法
,
脱臼
,
二酸化炭素
,
歩行訓練
,
頸椎装具
,
動脈血二酸化炭素分圧
Keyword:
Atlanto-Occipital Joint
,
Joint Dislocations
,
Enteral Nutrition
,
Intubation, Intratracheal
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Orthopedic Fixation Devices
,
Respiration Disorders
,
Spinal Fusion
,
Tracheotomy
,
Carbon Dioxide
pp.127-129
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016180769
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78歳男性。電動スクーターにて走行中に道路脇の崖に転落し近医に救急搬送された。所見では頸椎CTで頸椎に対する頭蓋後頭顆の後方脱臼がみられた。また、頸椎MRIでは後咽頭腔の出血と腫脹、および後頸部軟部組織損傷が認められた。以上より、本症例は外傷性環椎後頭関節脱臼(AOD)と診断され、著者らの施設へ搬送された。入院後、呼吸状態が徐々に悪化し救急病棟で挿管した。全身麻酔下にハローリングを装着後、まずAODの整復を試み、頸椎を牽引しながら徐々に屈曲していくと脱臼位が整復された。更にハローベスト固定のまま人工呼吸管理から徐々に鎮静を解除すると自発呼吸への回復と安定化がみられ、四肢麻痺のないことが確認された。以後、受傷3日目に誤嚥予防目的で気管切開し、後咽頭腔と後頸部の腫脹軽減を待って受傷11日目に頸椎後方固定術(O-C2固定)が施行された。その結果、術後1週間でハローベストを併用しての離床が開始され、続けてハローベストを7週間、SOMI型装具を4週間装着することで上位頸椎の過伸展傾向は術後のO-C2角が18.2°と改善した。一方、術後固形物の嚥下困難があったため経管栄養を継続し、受傷8週後に療養型病院へ転院となった。転院後は歩行訓練と嚥下能訓練の継続により介助歩行が可能となり、徐々に固形物の摂取もできるようになって、最終的には術後16週目に自宅退院となった。
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