胸部外科の指針
第2~3胸椎浸潤肺癌に対する全椎体合併左肺切除術
遠藤 誠
1
,
大泉 弘幸
,
加藤 博久
,
鈴木 潤
,
渡會 光
,
濱田 顕
,
鈴木 克幸
,
中橋 健太
,
船田 敏子
,
高橋 愛
,
貞弘 光章
,
千田 雅之
,
永安 武
1山形大学 外科学第二講座
キーワード:
胸椎
,
胸部X線診断
,
MRI
,
腫瘍侵入性
,
脊椎固定術
,
脊椎腫瘍
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
扁平上皮癌
,
骨代用物
,
胸部CT
,
椎体
Keyword:
Carcinoma, Squamous Cell
,
Lung Neoplasms
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Pneumonectomy
,
Neoplasm Invasiveness
,
Spinal Fusion
,
Spinal Neoplasms
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracic Vertebrae
,
Bone Substitutes
pp.811-817
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016402990
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60歳男性。左胸背部痛が出現し近医を受診、MRI検査で胸椎浸潤を伴う縦隔腫瘍を疑われ、縦隔鏡下縦隔腫瘍生検にて原発性肺癌(扁平上皮癌)と診断された。腫瘍は左上大区の4.5cmの大きさで、Th2-Th3左側に溶骨性変化を伴うcT4N0M0、臨床病期IIIA期であった。導入放射線療法としてCDDP+VNRによる化学療法2コースと45Gyの放射線照射を施行したところ、治療後のRECISTガイドラインの治療効果判定はSDで、椎体に圧潰所見を認めたため手術適応となった。入院時、表在リンパ節は触知されなかったが、左Th2-Th3神経領域に知覚障害が認められた。また、胸部CTでは左肺尖部からTh2-Th3に4.5cm大の腫瘤ほか、同椎体左側への浸潤と溶骨性変化が認められたが、腫瘍は左鎖骨下動脈と食道に近接し、明らかな浸潤像やリンパ節腫大は認められなかった。一方、胸部MRIでは溶骨性変化に加え、浸潤椎体の後方は膨隆し、硬膜の圧排が確認された。以上より、本症例は術前進行度ycT4N0M0、臨床病期IIIAと診断され、左上大区切除術+Th2-Th3全摘術、人工椎体による脊柱再建が施行された。その結果、病理組織学的所見は左上葉原発の低分化型扁平上皮癌で、腫瘍の大部分は壊死していた。病理病期はypT4N0M0、IIIA期であった。第179病日目に退院、術後10ヵ月経過現在、無再発健在中である。
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