発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012360646
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
86歳男。下腹部痛を主訴とした。胸部X線で横隔膜下にfree airと、右鎖骨に重なった肺野に腫瘤影を認めた。CTでは肝表面にfree airを認めたが、腫瘍や穿孔部位の特定はできなかった。穿孔部不明の消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。Treitz靱帯から300cm肛門側(回盲弁から50cm)の小腸に腫瘍を触知し、そこに1mm大の穿孔部を認めた。他にも4個の小腸腫瘍を認めた。多発性のため小腸腫瘍は転移によるものと考え、この時に気づいた胸部X線の腫瘤影から原発巣は右肺癌と診断した。小腸腫瘍を全て摘除後、胸部CTを施行し、右S2に3cm大と1.5cm大の腫瘍、縦隔リンパ節腫大を認めた。病理組織学的所見で、大型の腫瘍細胞が充実性に増生しており、肺大細胞癌の多発小腸転移と診断した。術後9ヵ月、消化管の再穿孔を認め、全身状態不良で死亡した。
![](/cover/first?img=J00393.2012360646.png)
©Nankodo Co., Ltd., 2012