特集 女性のがん ~治療とケアの最前線~
治療の最前線
卵巣がんの最新治療 ~薬物療法~
西野 翔吾
1
,
温泉川 真由
2
NISHINO Shogo
1
,
YUNOKAWA Mayu
2
1がん研有明病院婦人科
2がん研有明病院婦人科
pp.571-573
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_571
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卵巣がんの疫学・診断
わが国の卵巣がん患者数は年々増加傾向にあり,2018年には罹患者が13,049人と報告されている.また,死亡者数は2019年で4,733人であり,子宮頸がん・子宮体がんを含む女性生殖器悪性腫瘍のなかでもっとも死亡者数の多い疾患である1).卵巣がんは超音波や血清CA125値による検診の有効性が証明されておらず,早期の卵巣がんは自覚症状に乏しいため,40%以上が進行卵巣がん(Ⅲ期・Ⅳ期)で発見される2).日本産科婦人科学会に登録されたわが国における卵巣がんの主な組織型の割合は漿液性がん36.0%,明細胞がん25.1%,類内膜がん17.0%,粘液性がん9.4%である2).もっとも多い漿液性がんは高異型度と低異型度の2つに分類され,前者が90%以上を占める.高異型度漿液性がんは化学療法の感受性が高いが,再発をきたす頻度が高く予後不良である3).
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