連載 臓器別がん 最新エビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【10】
卵巣がん
赤木 秀子
1
Hideko AKAGI
1
1日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
pp.761-767
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_761
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治療の全体像と薬物療法
●ステージ別標準治療●
●ステージⅠA.ⅠB期●
①組織学的分化度(悪性度)grade 1:経過観察
②組織学的分化度(悪性度)grade 2, 3:標準的初回化学療法
●ステージⅠC期●
標準的初回化学療法
●ステージⅡ~Ⅳ期●
HRD検査後,標準的初回化学療法
卵巣がんは,化学療法が比較的奏効する腫瘍である.手術療法によりまず進行期を決定し,術後化学療法を行うのが標準的治療方針である(ステージⅢ以上は図1に記載).早期がんでは,ステージングの正確さを期するためのみならず,後治療を省略できる症例を抽出する観点からも,系統的な腹腔内および後腹膜腔の検索を行うことが推奨される(staging laparotomy).
進行がんにおいては,基本術式,staging laparotomyに加えて,腹腔内播種や転移病巣の可及的摘出を行うが,できるだけ残存病巣が小さくなるよう努める(debulking surgery).
組織学的分化度(grade)は,腺がん成分に占める充実性成分の割合によって定められ,IA,IB期でかつgrade 1の症例に対しては後治療なしとして経過観察を推奨し,grade 2以上もしくは明細胞腺がんの早期がん,または進行期卵巣がんであれば,術後化学療法を行う.
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