特集 高齢者(75歳以上)の運動器変性疾患に対する治療
脊椎の変性疾患に対する高齢者治療 頸椎変性疾患 高齢者頸髄症に対する頸椎前方手術の成績
猪瀬 弘之
1
,
湯浅 将人
,
平井 高志
,
吉井 俊貴
,
川端 茂徳
,
大川 淳
1東京医科歯科大学 整形外科
キーワード:
頸椎
,
術後合併症
,
術中合併症
,
神経検査
,
脊椎固定術
,
せん妄
,
入院期間
,
発生率
,
外科的減圧
,
治療成績
,
年齢因子
,
頸椎症性脊髄症
,
症状評価
Keyword:
Age Factors
,
Delirium
,
Cervical Vertebrae
,
Length of Stay
,
Intraoperative Complications
,
Neurologic Examination
,
Postoperative Complications
,
Spinal Fusion
,
Incidence
,
Treatment Outcome
,
Decompression, Surgical
,
Symptom Assessment
pp.85-87
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2018088650
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対象は2008年~2015年の75歳以上(高齢者群)18例(男9例、女9例、平均年齢78.9歳)、術後平均経過観察期間は39.9ヵ月であり、対照群として2011年~2015年の50歳代31例(男23例、女8例、平均年齢55.5歳)と比較した。術前のJOAスコアは高齢者群8.4点、対照群12.3点と前者が有意に低く、退院時JOAスコアは高齢者群9.8点、対照群13.6点と両群とも術前と比較して有意に改善したが、高齢者群は対照群と比較して低値であった。合併症を生じたのは高齢者群44.4%、対照群21.9%であり、術後せん妄は高齢者群のみ3例(16.7%)に認めた。両群とも術後のC5麻痺は2例ずつ発生したが、術後合併症に起因する死亡例はなかった。入院期間は高齢者群33.8日、対照群21.5日で前者が有意に長かったが、最終経過観察時において両群でJOAスコアの改善は維持されていた。高齢者のJOAスコア改善率は対照群と有意差はなく、神経学的改善は良好であった。
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