発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016298055
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70歳代男性。腹痛と黒色便を主訴に前医を受診、上部消化管内視鏡検査にて胃体上部大彎の粘膜下腫瘍を指摘され、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。腹部造影CTでは比較的境界明瞭で巨大な腫瘤が周囲の臓器を圧迫し、内部は低吸収で、壊死が疑われた。腹部MRIでは左上腹部中心に17cmの巨大な腫瘤を認め、肝臓や脾臓への浸潤が疑われた。一方、上部消化管内視鏡では胃体上部前壁大彎側にびらんを伴う粘膜下隆起性病変が確認された。以上、これらの所見を踏まえて、更に生検により、本症例は巨大胃GIST、脾臓・肝臓浸潤の疑いと診断され、手術が行われた。手術所見では胃大彎側に巨大な腫瘍が認められ、横隔膜への癒着が強く、脾臓への浸潤も認めたため、噴門側胃切除+脾臓合併切除+横隔膜一部合併切除が施行された。その結果、病理組織学的に最大径20cmの壁外発育型の巨大GISTで、術後、補助療法としてimatinib投与を開始することで、目下、術後1年5ヵ月経過で再発はみられず、加療を継続している。
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