発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013197242
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70歳女。数年前より他院にてAlzheimer型認知症の診断で通院中に貧血を指摘され紹介受診した。会話は可能だが記銘力障害が強かった。上部消化管内視鏡検査では、体下部前壁に有茎性で頭部最大径約5cmの表面が発赤し、結節状の巨大なポリープを認めた。腹部CTでは胃内に同腫瘤を認めたが、悪リンパ節腫大や肝転移所見は認めなかった。上部消化管造影では、ポリープ頭部は約5×3cmの表面が粗大結節状を幽門前庭部に認め、十二指腸への造影剤の流出は認めなかった。体位変換や圧迫でも可動性はなく、ポリープが幽門前庭部に陥頓し先端が幽門輪を閉塞していると考えられた。以上より、D-I型早期胃癌が疑われ、陥頓を生じていると考え、内視鏡的治療を施行した。ポリープが大きく通常のスネアによる一括切除が困難で、ポリペクトミー用のスネアを用いて7分割に切除し、EVL用の透明フード内に吸引回収した。術後、点滴継続は困難であったため、家族に吐血、下血時の受診を依頼して翌日に早期退院とした。病理所見では高分化型腺癌で、深達度はmで脈管浸潤は認めなかった。術後3ヵ月を経て消化器症状もなく経過している。
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