発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013350525
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70歳男性。検診にて胃前庭部の粘膜不整を指摘、上部消化管内視鏡所見にて胃角前壁に20mm大のType 0-IIc+IIa病変が認められた。生検ではGroup5の中分化型管状腺癌(tub2)で、cTlbN0M0、cStage IAの術前診断であった。対処として腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術を行なったところ、手術所見では胃角部前壁に20mm大のType 0-IIc+IIa病変のほかに、粘膜下腫瘤が触知され、これを含めて胃切除を施行した。摘出標本所見は胃角部前壁に25×20mmの不整形の浅い陥凹と中央部の軽度隆起から構成された病変が認められ、Type 0-IIc+IIa病変であった。また、胃体中部大彎には15×15mmの粘膜下腫瘤が認められ、胃角部前壁の0-IIc+IIa病変部では中分化管状腺癌が認められた。一方、胃体中部大彎の粘膜下腫瘤はAnisakisと考えられる寄生虫体と、その周囲に形成された膿瘍および好酸球浸潤の著明な肉芽であった。以後、経過良好により患者は第10病目日に退院となったが、術後18ヵ月経過で再発は認められていない。
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