発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012157858
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77歳男。認知症にて施設入所中に、腹部膨満、嘔吐に加え、右大腿骨骨折での入院翌日に右下腹部痛が出現し、CTで上行結腸に著明な拡張を認めたため当科転科となった。右下腹部圧痛を認めるが腹膜刺激症状はなく、巨大舌、大球性貧血、総蛋白とAlbの低下、CRPの高値を認めた。X線で盲腸と上行結腸の著明な拡大および小腸ガスの広範囲な貯留を認め、拡張腸管は最大径9.5cmであった。CTでは盲腸は著明に拡張し、上行結腸での閉塞が疑われたが、腫瘍性病変や捻転の所見は明らかでなかった。大腸イレウスと診断し、大腸内視鏡検査を行った。上行結腸肝彎曲より口側への挿入は不可能であったが、腫瘍性病変は認めず、ガストロ注腸で造影剤は上行結腸に停滞し盲腸へ流れず、盲腸軸捻転症も考慮して緊急手術を施行した。軸捻転は認めず上行結腸は肝彎曲部より口側で屈曲して著明に拡張していた。漿膜は広範囲に裂けており、右半結腸を切除し回腸末端と横行結腸を端々吻合した。病理所見より、粘膜に軽度の炎症細胞の浸潤、粘膜下に浮腫を認めたが、腸管虚血所見は認めなかった。術後、空気嚥下で胃拡張、嘔吐による誤嚥性肺炎を繰り返したため脱気目的に胃瘻造設を施行し、その後良好な術後経過をたどっている。
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