発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012157857
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63歳女。約4年前に気管支喘息を発症し、連日労作時に呼吸困難を自覚しステロイド点滴を投与したが、発熱、腹痛、下痢が出現し、体重減少、末梢血好酸球の著増により当科入院となった。呼気に軽度喘鳴を聴取し、右季肋部に圧痛、腸蠕動音の亢進、末梢血白血球と好酸球の異常高値、血清IgEの増加、肝・胆道系酵素や可溶性interleukin-2受容体の上昇を認めた。腹部CTで胆嚢腫大と壁肥厚、腸管壁の肥厚および腸液の貯留を認めたが、胆嚢や胆管に結石はなかった。下部消化管内視鏡で胃、十二指腸、結腸粘膜のびらんと浮腫を認め、回盲弁や結腸の生検で粘膜および粘膜下組織に好酸球の浸潤を認めた。米国リウマチ学会(ACR)Churg-Strauss syndrome(CSS)診断の主要臨床所見を満たしていた。sulbactam・cefoperazone投与では改善せず、prednisolone 50mg/dayの経口投与で臨床症状は速やかに改善し、末梢血好酸球も正常化した。4週間後のCTでは胆嚢の壁肥厚は残存するが、著明に縮小した。腸液貯留や腸管壁肥厚も改善しprednisoloneは漸減中で、1年経過した現在まで再燃は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012