発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012290297
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5年間に報告のあった院内転倒・転落インシデントは2248例で、このうち大腿骨近位部骨折19例(男6例、女13例、平均80歳)を対象とした。受傷時の年齢はほとんどが70歳以上で、入院の原疾患は呼吸器疾患5例、消化器疾患5例、骨折手術後3例、循環器疾患2例、発熱2例、食欲不振1例、脳血管障害1例で、認知症は5例で認めた。入院時の評価で転倒・転落の危険度が3で、安全対策をとっていた患者は8例であった。受傷の原因はベッドからの立ち上がり時の転倒7例、トイレからの立ち上がり時の転倒5例、歩行中滑って転倒4例、ベッドからの転落3例で、発生場所は病室10例、トイレ5例、廊下3例、リハビリ室1例であった。発生時間帯は昼間12例、夜間7例であった。全例で手術を施行し、手術法は骨接合術14例、人工骨頭置換術5例であった。退院時の歩行能力は独歩可能8例、不能11例であった。以上より、入院時の転倒・転落アセスメントスコアシートによる危険度の評価が必ずしも万能ではなく、向精神薬や睡眠剤が投与された患者において転倒・転落の危険性が高いことが示唆された。
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