発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017275229
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
過去7年間に大腿骨近位部骨折で入院した65歳以上の症例675例(男性171例:平均年齢80.50±7.06歳、女性504例:平均年齢81.61±7.78歳)を対象に、転倒状況について聞き取り調査を行った。その結果、骨折型は大腿骨頸部骨折395例、同転子部骨折280例で、平均年齢は後者が有意に高かった。転倒時間帯は日中423例、夜間196例、転倒時の居住場所は在宅が557例であった。転倒場所は屋内446例(66.1%)で、その内275例は居間・廊下など障害物が少ない場所での転倒であった。転倒時の姿勢は、立位からが403例(59.7%)で最も多く、転倒原因は、姿勢を崩したなどの内的要因300例、段差・障害物などの外的要因282例であった。屋内転倒・内的要因による転倒の割合は年齢に伴って増加し、内的要因による転倒は外的要因によるものと比べてADLが低く、退院時の歩行能力は著明に低下していた。以上より、転倒予防は環境整備だけでなく、運動療法による内的要因への積極的介入が必要であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017