発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009314600
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1997年1月~2006年12月に手術的治療を施行した65歳以上の大腿骨近位部骨折409例(男65例、女344例、年齢65~100歳)を対象に検討した。合併症あるいは既往症をもっている例は385例94%、1人当りの合併疾患数の中央値は3疾患で心疾患、高血圧が多く、次いで認知症、脳神経疾患、呼吸器疾患であった。対応を必要とした術後合併症は109例27%に認め呼吸器疾患に次いで消化器疾患が多く、発症時期は中央値が術後14日目であった。転帰は死亡が21例で合併疾患別では呼吸器疾患、腎・尿路系疾患の合併での死亡割合が多く、術後合併症あり群に対する術前合併症の影響は腎機能障害が有意であった。術後合併症あり群の入院期間中央値は84日で、合併症なし群の51日に比して有意に長く、自宅退院も減少して施設・病院への転院例が多くなった。以上より、高齢者医療が急性期対応だけで足りるものでないことが示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2009