発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010338482
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77歳女性。患者は20年前に腎嚢胞で右腎摘出の既往があった。今回、両下肢の痺れで近医にて腰部脊柱管狭窄症として治療を受けるも次第に歩行不能となったため、著者らの施設へ紹介となった。受診時、両下肢の筋力低下、臍部以下の知覚鈍麻、両下肢の深部腱反射亢進とBabinski反射陽性が認められた。また、胸椎X線ではTh9に圧迫骨折、MRIではTh7の左椎弓、横突起から脊柱管内に拡がる腫瘍性病変が認められた。以上より、本症例は転移性脊椎腫瘍の診断で椎弓切除術が行われたが、術中、傍脊柱筋の剥離で動脈性出血と椎弓一部削除で椎弓腔からの出血を認め、中止とし、安静臥床の上、ステロイドと濃グリセリン点滴を開始した。病理所見では腎細胞癌の骨転移が疑われ、放射線療法が行われたが、腫瘍の縮小は見られず、血管造影では左第6・7肋間動脈からの腫瘍への血流を認められた。以後、動脈塞栓術を行い、あわせて椎弓切除+腫瘍部分切除を行った結果、病理診断は腎細胞癌の骨転移であった。尚、術後は徐々に筋力は改善し、独歩可能となった。
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