発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013081451
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60歳代男性。糖尿病のほかに25年前に頸椎間板ヘルニアにC5/6に前方固定術、5年前に頸椎症性脊髄症でC3-7棘突起縦割法の既往があった。今回、2週間前から誘因なく右胸背部痛が出現し受診、体動は困難なほど増強しており、大動脈解離や急性心筋梗塞等の心血管系疾患が疑われた。だが、心電図や造影CT検査では異常は認められなかった。一方、MRI T2強調像でTh1/2椎間高位に脊柱管内に腫瘤を疑わせる所見がみられ、ミエロCTでは矢状断でTh1/2高位に硬膜圧排像を、横断像で右硬膜外に腫瘤像が認められた。以上より、本症例は臨床的に椎間板ヘルニアが疑われ、入院6日目に手術を行なったところ、術中所見では右Th1神経根-硬膜前面に硬膜外腫瘤が確認された。肉眼的に椎間板ヘルニアであり、摘出後、左T1/2に椎弓スクリューを刺入して後側方固定が行われた。その結果、摘出標本の病理組織学的所見では変性した軟骨組織で、術後は胸背部痛は消失し、術後23日目に退院、目下は外来で経過観察しているが症状の再燃はみられていない。
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