発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010338481
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78歳男性。患者は自転車で転倒後に頸部痛が出現し、近医で陳旧性軸椎歯突起骨折・歯突起後方偽腫瘍と診断され、著者らの施設へ紹介となった。所見では頸椎の可動域(ROM)制限と両手指に痺れが認められ、JOAスコアは16.5/17点であった。X線では歯突起基部に骨折線がみられ、MRIでは軸椎歯突起後方にT1強調で等信号、T2強調で低信号、ガドリニウム造影で周囲のみが造影される硬膜外腫瘤が認められた。また、CTでは歯突起骨折部に硬化性変化がみられ、歯突起後方の腫瘤は骨折部から後頭骨底部にかけて石灰化が認められた。以上より、本症例は陳旧性歯突起骨折および石灰化を伴った歯突起後方偽腫瘍と判断され、後頭骨軸椎後方固定術を行ったところ、術後に後頸部痛は消失し、車の運転ができるまでに改善した。尚、術後4ヵ月経過でのMRIでは偽腫瘍の縮小が確認され、更に術後10ヵ月のCTでは石灰化陰影の消失が認められた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010