発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006197903
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89歳男.発熱,左下腹部痛が出現し,左下腹部に熱感と腫瘤を触知した.血液検査ではWBC 13100/μl,CRP 14.85mg/dlと炎症反応を認め,骨盤内CTで左腸骨筋内に10×10×5cmの不均一に造影される腫瘤を認めた.MRIではT1,T2強調像で不均一な低信号を示し,ガドリニウム造影像で腫瘍の周囲に造影効果を認めた.左腸骨筋内膿瘍あるいは血腫を疑い,イミペネム/シラスタチンナトリウムの経静脈投与で炎症反応は消退傾向となったが,画像上腫瘤に変化はなく,洗浄およびデブリドマンを行った.腸骨筋切開により暗褐色の液体が流出し,腫瘍内部には多量の凝血塊が存在していた.これを十分に除去し,出血点を可能な限り止血してサクションドレーンを留置した.術後炎症反応は次第に改善し,抗生物質はセフォゾプラン,ミノサイクリンの経口投与に順次変更した.術後4週のCTで腫瘤は軽度残存していたが,炎症症状の再燃はなく,術後5週で退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2006