発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005140446
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41歳女.左股痛を主訴とした.両側末期変形性股関節症を有するが,特に誘因なく出現した左股痛が増強し体動困難となった.初診時,股関節の伸展不能,左腸骨稜付近の強い圧痛と腸腰筋肢位を呈し,造影CTにて左腸腰窩に存在する低濃度の腫瘤(9.5×7.5cm大)の内部に出血像を捉えたため,特発性腸腰筋血腫と診断した.また,CT施行後に出現した神経麻痺が急速に進行して左腸腰筋・大腿四頭筋の筋力低下,左膝蓋腱反射消失,左大腿前面から膝前面までの知覚鈍麻を認め,緊急動脈造影にて腸腰動脈からの出血を確認し,動脈塞栓術を行った.その結果,止血と疼痛消失を認めたが,麻痺症状が残存したため血腫除去術を施行したところ,神経麻痺と筋力は回復し,術後11ヵ月現在,膝前面に8/10の知覚鈍麻を認めるものの筋力に左右差はみられない
©Nankodo Co., Ltd., 2005