発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003301975
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70歳男.14年前より関節リウマチで治療を受けていたが,X線で右膝・両手・両肘関節の破壊が認められた.右膝に対して他家骨移植を併用したセメント人工膝関節全置換術を施行したが,術後排膿が続き,MRSA感染と診断された.バンコマイシン(VCM)を経静脈投与したが症状は増悪し,ポリエチレンインサートを除去して持続灌流とした.その際の病理組織標本で滑膜乾酪壊死及び類上皮細胞を認め,関節結核の合併を疑った.金属インプラントを除去してVCM含有polymethylmethacrylate(PMMA)セメントビーズ充填などを行ったが,完治しなかった.このためNexGen CRのトライアルコンポーネントからアルミ箔で型取りし,PMMA80g及びVCM5gで作製したarticulatede surface spacerを関節腔内に挿入し,MCM4gを含有したBiopex10gにより大腿骨及び脛骨の空隙を充填し固定した.術後1ヵ月で感染は鎮静化し,筋力の回復を待って人工膝関節再置換術を施行した.術後1年2ヵ月経過し,感染徴候はなく,経過順調である
©Nankodo Co., Ltd., 2003