発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003301976
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10歳女.発熱後に左膝関節痛が出現した.左脛骨近位内側の腫脹,発赤,局所熱感,圧痛があり,軽度の炎症反応上昇が認められた.MRIで脛骨近位骨幹端から骨端に及ぶT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,造影効果のある病巣が認められた.セファゾリンナトリウムによる保存的治療を選択し,症状,検査所見は改善したが,半年後に再燃した.炎症反応は亢進し,X線で脛骨近位骨幹端から骨端にかけて楕円形の骨透亮像が認められた.MRIのT1強調像で低信号,T2強調像で高信号の嚢胞状病変を認め,周辺に造影効果が認められた.脛骨粗面内側に骨孔を開けると,クリーム色の膿の流出が認められた.膿瘍は成長軟骨板を穿破しており,同部位を愛護的に掻爬し十分洗浄した後,ペンローズドレーンを留置した.培養でSalmonella oranienburgが判明し,6週間アンピシリンとホスホマイシンナトリウムの投与を行った.その結果,炎症反応は陰性化し,以後再発はない.術後2年半で身長は15cm増加したが,脛骨長に左右差はなく,変形も認めなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2003