発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011306549
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15歳男。右中指指尖部をぶつけて受傷し、爪甲基部から出血を認めるも放置した。痛みと滲出液が続き、受傷後4日に前医で末節骨基部の横骨折に対しアルミ副子固定と処置を受けたが、受傷17日目のX線で骨折部に骨溶解像を認め紹介となった。骨折部が不安定なために骨が溶解したと判断して受傷19日目に手術を行い、骨節部の肉芽を掻爬後に経皮ピンニングで固定した。術後抗生剤を投与するも局所の発赤・腫脹が出現・増悪し、更に切除した肉芽組織の培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されたため、MRSA骨髄炎と診断して再手術を行った。Kirschner鋼線を抜去して末節骨髄腔を掻爬し、リン酸カルシウム骨ペースト6gにバンコマイシン150mgを混入させたものを注入して充填した。術後炎症所見は速やかに改善して2週間で創治癒し、バンコマイシンとホスホマイシンの全身投与を2週間、レボフロキサシンの内服投与を4週間追加した。術後2年でCPCの遺残と末節骨の背屈変形を認めたが、痛みはなく日常生活に支障はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011