発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017392300
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79歳男性。夜間外出中に自動車にはねられ受傷し、当院へ救急搬送された。腹部CTでは十二指腸憩室を認め、周囲には液体貯留を認めるものの遊離ガスはみられなかった。消化管穿孔を示す所見が明らかでなかったため、保存的治療にて厳重に経過観察としたが、翌朝に血圧の変動が著明となり、意識レベルも徐々に悪化した。腹部CTを行ったところ、右腎周囲の腸管外ガス像が明らかとなったため、十二指腸穿孔の診断で緊急手術を行った。術中所見では十二指腸下行脚に憩室があり、先端の壊死と中央部に穿孔を認めたため、憩室を切除して縫合閉鎖を行い、経腸栄養目的に空腸瘻を造設した。病理診断は仮性憩室であった。第21病日に憩室縫合部の縫合不全を認め、ドレーン管理により改善したが、認知症による経口摂取の意欲低下が回復せず、約5ヵ月で老人保健施設へ退院となった。約3年経過現在、経腸栄養で生活している。
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