発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011292661
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26歳女。スノーボード中に転倒して腹部・頭部を打撲し、腹痛のため近医受診し骨盤内腫瘤と腹水を指摘された。腹部CTで腹腔内に濃度の若干高い腹水を認め、臍上部~骨盤内に径17cmの腫瘤があり、内部に石灰化や脂肪濃度を示す成分を含み、上縁は一部不明瞭で破裂が疑われた。外傷を契機とした成熟嚢胞性奇形腫の破裂に伴う化学性腹膜炎と診断し、緊急手術を施行した。開腹所見で約17mm大の右卵巣腫瘍を認め、腹腔内には腫瘍の内容物が約800ml流出していた。泥状脂肪成分、毛髪、一部石灰化を認め、右卵巣皮様嚢腫と診断した。右付属器切除術とドレナージを行い、腸管・腸間膜に損傷がないことを確認して手術を終了した。病理組織所見で悪性所見はなかった。術後腹膜炎が遷延し抗生物質の投与を行ったが、22日目に退院した。術後2年6ヵ月経過し、卵巣皮様嚢腫の再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011