発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017392301
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65歳女性。胃癌および閉塞性S状結腸癌の同時癌に対して幽門側胃切除+S状結腸切除術を施行したが、術後4ヵ月より食欲不振、下血を認め、症状が軽快しないため入院となった。腹部CTでは小腸全体の壁肥厚と浮腫を認めた。著明な低栄養状態であったため、補液と食事療法を開始したが、間欠的な右下腹部痛と下血が持続し、栄養状態も改善しなかった。3週後の腹部CTでは右下腹部の小腸に限局性の壁肥厚が残存し、小腸造影では回腸に冠状狭窄病変がみられた。以上より、腹痛・下血の原因は小腸に遷延する浮腫状変化と狭窄によるものと考え、手術を施行した。開腹所見ではTreitz靱帯より200cm肛門側の小腸で30cmにわたり腸管壁の肥厚を認め、肥厚部位より肛門側の小腸は癒着が高度であった。そのため可及的に癒着を剥離した後、肥厚部位を切除し、機能的端々吻合にて再建した。病理組織学的に虚血性小腸炎と確定診断され、術後は下血・腹痛が消失し、経過良好にて術後45日目に退院となった。
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