発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316477
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
59歳女性。左下腹部に膨満と腹痛を認めるも、排便後には症状が改善していた。しかし、徐々に排便後も続くようになり受診となった。入院時、腹部単純X線像では腸閉塞の所見はなかったが、注腸造影検査では下行結腸に辺縁平滑な約50mm大の腫瘤が認められた。また、大腸内視鏡では下行結腸に頂点表面びらん、潰瘍を伴う陰茎亀頭様隆起性病変が認められるも、Cushion signは陰性で、生検ではgranulation tissueであり、確定診断には至らなかった。一方、骨盤CTでは下行結腸に約50mm大の周囲脂肪と、同等からやや高吸収域を不均一に示す腫瘤陰影を認められた。更に腹部CTでは下行結腸脂肪腫を先進部とし繰り返す腸重積症が疑われたが、内視鏡ではinflammmatory fibroid polypが最も疑われた。以後、腸重積は自然解除され、待機的に腹腔鏡で下行結腸部分切除術が施行された。その結果、切除標本は55×50×35mm大の正常粘膜に覆われた有茎性の腫瘍で、頂点表面にはびらんや潰瘍を伴っていた。病理組織所見では腫瘤の主座は粘膜下層で、成熟した脂肪細胞が不規則に増生した脂肪腫であった。尚、術後の経過は良好で、患者は術後10日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016