発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316478
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61歳男性。6ヵ月前に下行結腸の無茎性早期癌病変に対し内視鏡的粘膜下切除が施行された。病理診断はSM浸潤度1000μm以上であり、D2郭清術を伴う腹腔鏡下下行結腸切除術が追加された。端側肉眼所見ではIIc様の瘢痕変化が認められたが、同部に癌細胞の遺残はなかった。だが、No.231壁在のリンパ節に1個に転移(pStage IIIA)が確認され、Capecitabineを6ヵ月間投与した。以後、PET/CTによる全身検索で再発や転移を疑わせる所見は認められなかったことから投与は終了したが、今回、便秘気味になり徐々に便の狭小化を認め、再診となった。下部消化管内視鏡では肛門縁より約30cm口側結腸に吻合部狭窄がみられ、吻合部ライン上には結節状ポリープが多発しており、易出血性であった。以上より、吻合部再発、吻合部狭窄を疑い、入院後、下行結腸部の器械吻合部を中心としたD1郭清術、および結腸切除術が施行された。その結果、摘出標本の病理組織学的所見では吻合部に一致して過形成結節と反応性肉芽組織がみられるとともに、少量の異型上皮が認められた。いずれも悪性所見はなく、患者は術後経過良好にて第10病日目に退院、現在まで再発徴候は認められていない。
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