発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003256674
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79歳女.検診で便潜血陽性を指摘された.大腸内視鏡で横行結腸に管腔の殆どを占める亜有茎性の腫瘤を認め,中心部に潰瘍がみられた.腹部CTで,横行結腸末端が脾彎曲部にかけて腸重積を起こし,target sign様に拡張していた.その肛門側先端にはfat densityの腫瘤を認め,結腸脂肪腫を先進部とした結腸重積症と診断された.イレウス症状,結腸の虚血はなく,排便もあることより慢性的に嵌入を繰り返していると判断し,待機的に小開腹下で手術を施行した.横行結腸の左側部分で,口側結腸が肛門側結腸内に重積しており,両側から横行結腸を牽引することで容易に整復できたが,先進部外側の漿膜面は浮腫を伴い肥厚していた.腫瘤部分を確認し,重積により慢性炎症となった部分を含めて部分切除した.病理組織所見で腫瘍の本体は結腸粘膜下組織から固有筋層に及ぶ脂肪組織であり,異型細胞や異常核分裂像は認めなかった.術後経過良好で,2年経過し再発徴候はない
©Nankodo Co., Ltd., 2003