発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016309864
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症例は20歳女性で、前日からの心窩部痛を主訴に受診した。腹部造影CT所見では、虫垂根部は虚脱し、虫垂体部に造影効果の強い壁肥厚を認め、それより末梢で虫垂は腫大していた。右傍結腸溝からダグラス窩に腹水を少量認めた。急性虫垂炎と診断し、腰椎麻酔下に緊急で虫垂切除術を施行した。切除標本所見では、虫垂体部に15mm大の白色調の硬い腫瘤性病変を認めた。病理組織所見により虫垂神経内分泌腫瘍(NET)G1と診断した。経過は良好で術後4日目に退院した。虫垂切除より4ヵ月後に追加手術として腹腔鏡下回盲部切除術、D3郭清を施行した。虫垂断端および開口部に腫瘍の遺残は確認されず、リンパ節転移も認めなかった。経過は良好で術後8日目に退院した。術後12ヵ月の現在、無再発で経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016