発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006203163
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症例1は26歳女性,症例2は51歳女性で,2例とも急性虫垂炎の診断で緊急手術を行い,虫垂は蜂窩織炎様であった.症例1の摘出標本割面には1cm大の腫瘤を認めた.病理組織学的には,小胞巣状,索状に粘膜から漿膜にかけて小型細胞が浸潤し,クロモグラニン陽性であった.虫垂カルチノイド(ss,ly0,v0,mitoses 0/10HPF)と診断し,回盲部切除術(D2)を行った.症例2の摘出標本には,虫垂根部に白色調の壁肥厚を,先端部には高度の炎症性変化を認めた.病理組織学的には,粘膜下層を中心に全層性に粘液産生を浸潤するsignet ring cell様の腫瘍細胞を認め,クロモグラニンは陽性であった.虫垂杯細胞カルチノイド(ss,ly0,v0,mitoses 0/10HPF)と診断した.断端には腫瘍浸潤を認め,回盲部切除術(D2)を行った.2例とも切除標本には腫瘍の遺残やリンパ節転移はなく,各々術後1年10ヵ月,術後1年8ヵ月を経て再発はみられない.虫垂カルチノイドは術前,術中に診断することが困難で,摘出虫垂の病理組織学的検査が重要だと思われた
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